大分県由布市にある由布市ツーリストインフォメーションセンターを訪れたので、建築の魅力を書き記します。
由布院といえば温泉ですが、由布院には素晴らしい建築が多いです!
インフォメーションセンターの隣にある由布院駅舎も建築家、磯崎新さんの設計です。
インフォメーションセンターは、旅行者のための施設で、観光情報が手に入るのはもちろん、荷物を預けることができたり、ゆっくり休憩できるスペースできる、いわば旅行者のための施設です。
由布市ツーリストインフォメーションセンターの建築について
坂茂建築設計によるYUFUiNFO
- 所在 大分県由布市湯布院町川北
- 竣工 2018年
- 用途 観光案内所
- 延床 624.21㎡
- 構造 木造・一部鉄骨造
- 設計 坂茂建築設計
- 構造 星野建築構造設計事務所
- 施工 森田建設
観光客急増のために、由布院駅前が観光客でごった返しになることが多く、それを解消するために観光客が休憩できるスペースが求められていたそうです。
ちなみに由布院駅舎は磯崎新アトリエの設計です。設計する側としたら、隣に磯崎新アトリエの建物があるって相当なプレッシャーですね。
しかし由布院のランドマークになりつつ、周囲とのボリュームや関係性がしっかり考えられた素晴らしい建築でした。
1階部分は柱が直線的で、ガラスが多用されているので、建物越しでも電車が見えるような工夫がなされています。
磯崎新アトリエ設計の由布院駅は、アーチが連続するヴォールトで構成されていますが、それと呼応するように、YUFUiNFOも複雑なヴォールトで構成されています。駅舎から続くヴォールトが、インフォメーションセンターにも連なっています。
細かい部分ですが、
このトイレの開口部を隠す部分。庇と目隠しが一緒になっている上に、外壁と同素材なので馴染むし、可愛いなと思っていました。
この部分、どこかで見たなと思っていると、思い出しました。
磯崎新氏の初期代表作ともいえる旧大分県立図書館(現・大分アートプラザ)の窓庇です。
坂さんは、磯崎新アトリエに在籍していたこともあるので、オマージュ的な意味も込めてインフォメーションセンターの細部に磯崎さんのディテールを取り入れられたのかなと想像しました。
森のような内部空間に感動
写真でも凄いですが、もうこの木々が集まった森のような空間に感動しっ放しでした。
よくよく観察すると、それほど複雑な構成では無いのですが、入った瞬間には木が本当にそびえ立っているかのような錯覚に陥ります。素直に感動。
木の直線的な部分と曲線的な部分が見事に混ざり合っているで、本当に植物のようなエネルギッシュな構造に見える。ほとんど集成材でしたが、集成材は曲線への応用力が効きますね。
よく観察すれば、直線的な構造部分もあるんですが、アーチを描く柱が複雑に重なることで有機的な複雑さにみえます。
柱の上にある天窓が、木々から差し込む光のようにも見える、にくい演出もあります。
椅子は、坂さんお得意の紙をつかった素材でした。木材と馴染む上に、座り心地もよかったです。
2階部分はゆっくりくつろげるスペースで、由布院の観光情報が載った本がたくさんあります。ノープランで由布院に来ても、ここで情報を仕入れてから観光するという荒業もできちゃいますね。
2階にはテラスがあるので、天気が良い時には、由布院の街を眺めながら休憩するのに気持ちよさそうでした。
木々のまわりにテーブルがあり、構造と家具が一体となっています。構造が隣のテーブルとの視線を切るような役割もあって、上手く設計されているなあと感心。
2階からも駅が見えるので、電車の往来が見れて風情があります。
2階の休憩スペースは飲食禁止なのが残念ですが、wifiがあるので、ちょっとした時間つぶしや休憩にはぴったりの良い施設でした。
1階にはコンシェルジュもいるので、観光情報を教えてもらうこともできます。
建築好きの方で由布院に行かれたら、ぜひ由布市ツーリストインフォメーションセンターに行ってみることをおすすめします。