交差する軸 長崎県庁舎 西日本建築の旅#06

長崎県庁舎 建築の紹介

2018年1月に完成した長崎県庁舎を見てきました。誰でも見学可能で、見学ツアーもやっているようです。

県庁舎・市庁舎は戦後直後に建てられたものが多く、RC造の耐用年数である60年を超えつつあります。

全国で庁舎や公共インフラが建て替えや修繕ラッシュが多く見受けられ、朽ちるインフラはこれからの建築の課題でもあります。

長崎県庁舎の建築及び設計について

ダイナミックなエントランス空間

長崎県庁 建築 エントランス

  • 所 在 長崎県長崎市尾上町3番1号
  • 竣 工 2018年1月
  • 用 途 県庁舎
  • 延 床 46,565㎡
  • 構 造 鉄筋コンクリート造
  • 設 計 日建設計・松林建築設計事務所・池田設計JV
  • 施 工 鹿島・上滝・堀内組JV / 堀内組・小山建設・松崎建設工業JV

長崎県庁 エントランス 吹抜

長崎県庁 錯綜する軸

3~4層分の吹き抜けに入り込んだ斜めの軸がカッコ良い。なかなかダイナミックな空間で歩いていて楽しかった。

ファサードからはあまり感じられませんでしたが、中に入ってみて何より感じたのは出来るだけコストカットを図ろうとしていることでした。

流行りでもありますが、天井材を貼らずにメンテナンスしやすいように上部の動力類のケーブルやダクトが垣間見える。

長崎県庁 2階部分

長崎県庁 ホール前

ルーバーのように木材を配置することで天井があまり気にならない。従来の重厚な庁舎建築とは異なる新たなものを見た気がします。空間や意匠は軽やかなんだけど、直線を軸にしているので構成が重厚という不思議な感じでした。

長崎県庁の内部を見て第一に思ったのは、隈研吾建築都市設計事務所によるTOYAMAキラリに似ているなという感想。あっちはもうちょっと意匠的で軽やかではありますが、吹抜けがズレていく構成や木材ルーバーがなんとなく似ているなぁと。

こっちはこっちでゴツゴツ感が良い。

長崎県庁 意匠 木材

柱が配置されているように見える意匠上の努力。

長崎県庁 階段

個人的に良いと思ったのが、この階段。職員しか使わないかもしれないが、床までズラした階段。

オフィス建築だと効率的なせせこましい階段になりがちだけど、開放感があり明るい階段。

船を模したファサード

長崎県庁 ファサード 船

右側に見える尖った部分が議会棟部分です。結構尖っているなと思っていたのですが、ファサード全体は船を模しているのかと納得。

設計方針などを読んでもそれらしき文章が無かったので、僕の勝手な推測です。

確かに長崎県のイメージは、南蛮貿易や海や海に面した島々のイメージなので、船がしっくりくる。すぐ近くにも船の大きなターミナルがありました。

県庁全体が斜めにふっているのは、長崎駅からの海への眺めを確保するためです。ボリュームは抑えられ、広大な広場が前に広がっている。

長崎県庁 入り口付近

長崎県庁 エントランス 仕上げ

長崎県庁 エントランス 仕上げ

錯綜する木材と照明が内部にまで続いていく連続性。エントランス部分は、仕上げも気合いが入っていてしびれました。

長崎県庁の展望台へ

長崎県庁の8階は展望台になっており、夜21時まで開いています!誰でも無料で入れます。

長崎は夜景が有名なので、夜に来たら良かった。

長崎県庁 8階 展望台

長崎県庁 8階 展望台

基本的に柱や構造が斜めにふっています。長崎の木材を使った集成材。

長崎県庁 8階 展望台

長崎県庁 8階 展望台テラス

長崎県庁 8階 展望台テラス

天気が悪く外があまり見れなかったが、市民や観光客のためにこの場所があるのはありがたい。観光地の一つと言っても良いのかもしれないですね。公共建築の担う役割を考える。

従来の庁舎ではあんまり長居しようと思えませんが、ここではのんびり外を眺めても良さそうでした。海から山に向かって坂になっているので都市の街並みが美しい。天気の良い日に来たかった。。。

長崎県庁の食堂Chez Dejima 安くて美味しい!

長崎県庁 食堂 Chez Dejima

長崎県庁の食堂が安い早い美味いの三拍子揃ったところで非常に良かったです。

料金も500~600円程度で安い上に、普通に美味しかった。

長崎県庁 食堂 トルコライス

トルコライスは600円で結構ボリュームがあります。実はトルコライス初めて食べました。美味しいと言われる店で食べた事がないので比較できないですが、県庁食堂のトルコライス美味しかったです。

価格の割にはボリュームもあって十分満足できました!

長崎県庁 食堂 内観

開放的で気持ちいい食堂。ここでも斜めの軸は多用されている。

軸線が強いので、建築としても強固に見えてくる。机の配置も柱の方向とは斜めに交わっていく。

まとめ

木材のルーバーと線の交わりによって構成された建築だったように思います。意匠性と開口部の大きさによって軽やかだけども、線の構成や垂直の柱によって重厚感もある。なんとも独特な空間体験でした。

朽ちるインフラ。戦後から建築とインフラと共に成長してきた日本においてこれからの大きな課題。