民間会社から地方公務員に転職できるのか?
地方公務員では、採用枠に社会人枠が確保されていることが多く、新卒よりも就職しやすい場合があります。
さらに市役所や県庁などの多くは、団塊の世代の大量退職により、人手不足が顕著で、即戦力になる社会人が求められています。
しかし、民間会社から地方公務員に転職することに対して、いくつかおすすめできない理由があります。
市役所と民間会社の両方を経験した僕が、民間会社から公務員になることの注意点を4つに分けて説明します。
地方公務員とは、県庁職員や区/市役所職員などのことです。
企業から公務員への転職をおすすめできない4つの理由
① 地方公務員の給料は少ない
はっきり言います。
地方公務員の給料は少ない。
新卒から5年働いても、基本給は22万円程度でした。
10年経験を積んでも27万程度。
年収にすると、500万円もいかないです。
もちろん、地域手当がある場合や職種によって例外はあります。それでも優良企業に比べれば、明らかに少ない。
給料は、法律や条例で決まっているので、簡単に変えることができません。
ボーナスには、業績や勤務態度などで評価額が変わりつつありますが、増えても微々たるものです。
公務員の性質上、そもそも業績評価が難しいのでなかなか差をつけにくい。
公務員は給与がすべて公開されているので、転職を考える前に自治体や組織の給料表を見てみましょう。
民間から転職してきた人はそろって、給料が信じられないくらい下がったと言っていました。
給料面で地方公務員に転職するメリットは、ほとんどないです。
② 公務員の労働時間は短くない
これは本当に誤解されていることが多いですが、公務員でも定時に帰れることはほとんどありません。
例外として、ノー残業デーなるものが存在し、早く帰れる曜日がある自治体も存在します。
電通事件の影響もあって、今でこそ、残業時間に対して厳しくなりましたが、仕事が遅くなって、22時くらいまで残業することも多く、終電ぐらいまで仕事ってこともありました。
部署によっては、常に終電までやっているところもあります。
もちろん繁忙期でなければ、早く帰れることもあるので、必ずしも遅いわけではないです。
配属される部署次第という面もありますが、「公務員は定時に帰れる」という幻想はありえないです。
役所のイメージとして、「17時半くらいには帰れるんでしょ」とよく言われましたが、帰れません!
僕もそのイメージで市役所の職員になりましたが、全くイメージと違いました。
また仕事が終わらないときは土日に出勤することも多々ありました。
もう一つ、災害時に地方公務員は大忙しになります。災害があれば時間や土日関係なく出勤しなければなりません。
追加の手当は出ますが、自分の家が被災した時でさえも、出勤しなければならない時がありました。
公務員には残業が無い・土日が完全に休みというのは、幻想です。
③ スキルが身につかないので、公務員は潰しが効かない
専門職の例外はありますが、基本的に公務員の一般職は、専門性が低いです。
ワード・エクセル作業や法律に関連した業務をすることが主なので、スキルや技術が身につきにくい。
また地方公務員にはジョブローテーションというシステムがあり、3~5年毎に働く部署が変わります。
部署が変わると、業務が転職並にガラッと変わります。
せっかくスキルや経験が身に付き始めたところで、また1から違う仕事を覚えなければなりません。
なので専門性やスキルが業務の中では、身に付きにくいです。
そのため、転職しても使えるようなスキルやノウハウを、仕事中に身に付けることは難しい。
くわえて、公務員から他業種へ転職するのは難しいです。
理由としては、上記で述べたスキル、ノウハウが身に付かないことと、公務員と民間の仕事で求められるものが異なるからです。
民間的な企画力・営業力・技術力は、あまり必要とされず、公務員は、管理・運営などに重きが置かれています。
悪くいえば、前例踏襲が当たり前、事なかれ主義に重きが置かれています。
もちろん、そうじゃない部分もありますが、公的な機関の役割としてそうせざるを得ない部分が多分にあるからです。
そうした労働環境の中では、指示待ち人間や事なかれ主義で、必要最小限のことしかしない人がいて、競争や向上心溢れる人は少なかった。
周りと競争して頑張って上を目指そうという空気感は無かった。(当然ですが、めちゃくちゃ仕事できる人や向上心溢れる尊敬できる人もいました。)
また大手企業・メーカーから公務員に転職する人はたくさんいるのに、公務員から企業に転職した人はほんの一握りです。
僕が働いていた役所でも、大手から社会人枠で入社してきた人はたくさんいたのに、企業やメーカーに転職した人は1人しか知りません。
公務員が転職する先は、同じ公務員か公的な類似団体がほとんどです。
公務員の事務だけをしてきた人に、それほど需要があるとは思えません。
ここで言いたいのは、何もない状態で公務員を辞めたとしても、企業に転職して一線で活躍するのは難しいという話です。
なので、なんらかの能力や技術があれば、話は別です。
僕はスキルも経験も無かったので、他業種へ転職するため、大学に入りなおしました。
④ 公務員は本当に安泰なのか?
これは、僕自身が地方公務員を辞めようと思った理由でもあります。
公務員といえば、不況になっても、給料が安定していてリストラが無い。
不況になったとしても安心だな。
そんな風に入社当初は思っていました。
しかし、これからの日本を考えた場合に、公務員のあり方は大きく変わると思います。
なぜなら人口減少、超高齢化社会によって、税の大幅な減収と社会保障の莫大な増額がとめどなくのしかかってくるからです。
実際に、その傾向は顕著になっています。
10年〜20年後には団塊の世代が後期高齢者になり、医療介護費の大幅な増大は目に見えています。
ここで詳しくは書きませんが、国からの交付金でなんとかやっていけている地方自治体がほとんどです。
それなのに、税収が上がる見込みは消費税くらいしかなく、社会保障の増大に対応できるとはどうしても思えません。
これらを考えた時に、地方公務員の給料を今の水準のまま払い続けられるのか。
答えはNOだと思います。
リストラは無いとしても、給料や待遇が今より下がっていくのは間違いないでしょう。
最悪の場合、法律を改正し、公務員のリストラもありえるかもしれません。
地方公務員が今までと同じように、ずっと安定しているとはどうしても思えないのです。
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一つのエージェントだけに頼らず、いくつかの会社を試してみることをおすすめします。
まとめ
公務員に転職するときに知っておきたいデメリットをまとめます。
- 地方公務員の給料は少ない
- 地方公務員の労働時間は短くない
- 公務員から民間への転職は難しい
- 公務員がずっと安泰とは限らない
転職先として地方公務員はおすすめできないと散々書いてきましたが、もちろん、ブラック企業というほどでも無いです。
残業代もでますし、福利厚生もしっかりしています。
保守的な人が多いですが、人格者の方が多いです。
中には陰湿な人もいましたが、人数の多い組織であればどこでもいるでしょう。
地方の就職先として、安定しつつそこそこの給料を得られる職なのは間違いないです。
デメリットを知った上で転職するならば問題ないです。
子育てのために、地元の地方公務員に転職なども良い方法だと思います。
しかし、「今の仕事が嫌だから楽そうな公務員になりたい」で転職するのは、あまりおすすめできません!
仕事内容やこれからのことを考えた上で、転職した方がいいでしょう。
今の待遇や職場が嫌で、公務員への転職を考えるならば、一度違う職場に転職してみるのもありです。
それから公務員を目指しても遅くないと思います。
一度公務員になると他業種へは転職が難しいので、覚悟を持って公務員を目指しましょう。