豪雨・地震・火災などの被災時には罹災証明書の発行を

公務員時代、税務課職員として罹災証明に関する調査、発行業務をやっていました。その時の情報や実情を記します。

被災された時、住宅に被害があった場合の情報として見ていただければと思います。

罹災証明書とは

 

罹災証明書とは、火災や天災などで住家が被災されたときに、公的機関が被災された内容を証明するものです。ちなみに行政では、「り災証明」と表記されることが多いです。

罹災証明が必要になるのは、地震保険の適用や被災者生活再建支援金・災害見舞金、仮設住宅への入居などです。住宅の保険に加入していない場合で被害が軽微な場合は取得しても意味が無い時もありますが、住宅に被害がある場合はなるべく早く役所の税務課職員に見てもらい罹災証明書を発行しましょう。担当課に災害で住宅に被害があったと連絡すれば見に来てもらえます。

火災の場合

 

火災の場合は消防署が調査の上、罹災証明書を発行します。火災後、数日以内に消防署から連絡があるので消防署からの連絡を待ちましょう。また火災の程度によって役所から見舞金の支給や国民健康保険・固定資産税が減免になる場合があります。そのため火災による住宅被害の場合、罹災証明書の発行は消防署ですが、必ず役所にも相談しましょう。税務課の職員が、現場の確認と消防署の発行した罹災証明を参考の上、減免を行います。

大雨・豪雨・浸水被害などの場合

 

異常気象による大雨や洪水が増えています。浸水被害についても、罹災証明書は発行されます。

床下浸水と床上浸水で大きく内容が変わります。床上浸水の場合は必ず半壊以上になります。床下浸水だけの場合は、一部損壊で半壊未満となることがほとんどです。しかし職員の判断によるものですので、必ず見てもらった方がいいです。

床下だけでも柱が傾くことや土砂の流入などで被害が大きく半壊以上となることもあります。

多くの場合、水や泥の跡が残るのですぐに見分けが付きますが、被害の件数が多いと日数が経ってから職員が来ることもありえます。そのため職員が来るまでは、被害の状況を残すか、治す場合はしっかりと被害箇所の記録写真を残しておきましょう。

被害箇所がわからなければ、職員も被害無しと見るしかありません。火災と同様に固定資産税・国民健康保険などが減免となる場合があります。

地震の場合

 

地震の場合、件数が少ないとすぐに見に来てもらえますが、大規模な場合はかなり時間が経ってから調査に来ることも考えられます。被害箇所を治す場合は必ず被害箇所の記録写真を残しておきましょう。

また地震の被害の場合、件数が多いので、一次調査と二次調査に別れます。一次調査は外観のみの調査で、屋根・外壁・基礎・地面の状態から判断し、り災程度を判定します。

被災者から申し出があれば、二次調査を行います。二次調査は外観に加えて、内部を調査します。柱・内壁・床・天井・設備などが対象で、外観調査のみの一次調査よりも正確な判定ができるので、一次調査に不満がある場合は二次調査の依頼を役所に依頼してください。火災と同様に固定資産税・国民健康保険などが減免となることがあります。

罹災証明書はどこでもらうの?

 

罹災証明書は、基本的には税務課の仕事になるので、役所の税務課で発行することが多いです。役所によっては、防災関係の部署のこともあるでしょう。大きな災害の場合は、別で窓口が作られて案内されることが多いです。

本人確認書類を持って証明を貰いに行きましょう。罹災証明発行時に案内してもらえると思いますが、合わせて国民健康保険の減免や災害見舞金が支給されることがあります。必ず職員に確認しましょう!

現場の経験として、担当業務は詳しいけど他の担当の事となるとよくわかっていないということが往往にしてあります。そのため罹災証明を発行しただけで、他の担当への案内が無い場合もあるので、必ず確認してください。

MEMO

役所のホームページや広報で情報が回ることもありますので、随時チェックしましょう。

罹災証明の判定について

 

被害の程度を算出するに当たって、内閣府が定めた基準が元になります。そのため日本全国どこでも同じ基準で、被害程度を算出しています。もちろん被害の種類や傾向が災害によって異なることが多いので、現場である程度すり合わせをすることもあります。

被害程度の算出方法は、家屋を構成する部位毎に損傷程度を記入していきます。ここでは被害の程度をⅠ~Ⅴの5段階に分けて、その被害が部位の中でどれだけの割合を占めているかを算出します。

内閣府の『災害に係る住家の被害認定』のページに詳細がありますが、簡単に紹介します。

出典 内閣府 災害に係る住家の被害認定

外壁の被害程度の算出ですが、被害の程度をⅠ~Ⅴで判断し、それが外壁の中でどれだけ占めているか算出します。例えば、程度Ⅲの被害が外壁全体で30%見られる場合は、専用の紙に記載し、外壁の点数を出します。屋根や基礎も同様に行い、最終的に算出された数字が住家全体の被害程度になります

算出された数字が20%以上なら半壊、50%以上なら大規模半壊、70%以上なら全壊です。20%未満なら一部損壊です。基本的に、全壊・大規模半壊・半壊・一部損壊の4つのどれかが罹災証明書に記載されます。

正直、一部損壊と半壊では、支援の面でかなりの差があります。被害箇所が多いほど、半壊に近づくので、被害箇所は全て把握し、調査に来た職員に正確に伝えるようにしましょう。

自己判定方式

 

最近の判定には、自己判定方式が導入されています。

自己判定方式は半壊に満たない場合に、自身で住宅の被害箇所を写真で記録し、写真によって役所が判断し罹災証明書を発行するものです。

行政側の負担を少なくし、被災者への利便性をより高めるもので良い取り組みだと思います。災害に遭っても仕事が休みになるとは限りませんし、税務課職員が見に来る時間の都合が合わないことも多々あると思います。

被害箇所は、全体と部分のアップを写真に撮って役所に持って行きましょう。

被害状況の証明写真として用意しておくもの。

  • 建物全景(東西南北の4方向)
  • 表札や門など建物の所在がわかるもの
  • 被害箇所の写真
  • 建物図面に被害箇所を書き込む(図面が無い、流出した場合は簡単に四角形を書いたりして方位や入口を描くだけでも十分だと思います。)

MEMO

半壊に満たないことが前提なので、被害の程度が軽い場合は、税務課職員が来るのを待たなくて済むので自己判定方式の利用が良いと思います。

まとめ

  • 罹災証明書は保険の適用・災害見舞金・仮設住宅の入居などに必要。役所の担当課に連絡し被害を見に来てもらう。
  • 発行場所 火災は消防署 水害・地震などは役所。
  • 被害のあった場所は必ず全体と部分のアップを記録写真として残す。
  • 役所に訪れた時は、災害見舞金や国民健康保険の減免などに当てはまらないか確認する。
  • 半壊に満たない軽度な被害の場合は自己判定方式を利用。
  • 被災時には、役所が上手く機能していないことも多いです。心身共にお疲れだと思いますが、被災時には行政職員も被災者で疲弊しています。寛容な気持ちで対応してあげて欲しいです。

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