固定資産税の新築家屋調査とは何をするのか

固定資産税の新築家屋調査について

住宅を新築したときには、完成してから1ヶ月〜数ヶ月程度で、市区町村の税務課等から固定資産税の新築家屋調査の依頼が届きます。

固定資産税の新築家屋調査とは何をするものか、また家屋調査はどういうところを見ているのかについて説明します。

僕自身、税務課職員として、この新築家屋の評価業務に4年間従事していました。その時の経験に基づいて書いています。

固定資産税上、建物のことを家屋と呼びます。この記事では基本的に家屋=建物です。

固定資産税の新築家屋の調査について

1-1固定資産税の家屋評価とは?

固定資産税の新築家屋調査は、新築された住宅の所有者もしくは居住者等の立会いの元、固定資産税の対象となる新築された家屋の固定資産評価を行うことです。

家屋評価を行う目的は、固定資産税算出の元になる家屋の評価額を求めるためです。
家屋は評価額×1.4%が年間の固定資産税です。

家屋評価は、基本的に家屋を新築したときに調査に来る一回きりのものです。
その後は家屋を増築・減築・取り壊し・用途変更した場合など、現況が大きく変更されたときしか家屋調査に来ません。

そのため、固定資産税の担当職員が直接家まで調査に来るのは、現況が変わらない限り、新築家屋の調査時だけです。

1-2家屋評価の流れ

家屋評価の流れとして、市町村にもよりますが、はじめに固定資産税の簡単な説明と申請書類の記入をすることが多いです。
記入する書類は、住宅用地の特例・新築軽減・不動産取得税の申告書などがあります。

新築軽減や住宅用地の特例など、税金を軽減する特例を適用するため、面倒ですが申請が必要なのです。
書類には、記入と押印を求められますので、印鑑と筆記具があれば必要十分です。

説明が終われば、内部調査・外部の調査をするため部屋の中や外をぐるりと見て調査終了です。

1-3固定資産税の新築家屋評価の所要時間

家屋評価の調査にかかる時間は、30分~1時間程度のことがほとんどです。

豪邸で200~300㎡を超えるような住宅ならもう少し時間がかかります。

実際の内訳は、

  • 調査内容及び固定資産税の説明が10分
  • 家屋の内部調査が20~40分
  • 家屋の外部調査が10分

程度が目安です。

固定資産の評価額は、その場で計算されるものではなく、職員が資料を持ち帰って計算によって評価額を算出します。
例外的なものを除いて全て家屋評価システムと呼ばれるシステムを利用して家屋評価を行っています。

家屋調査の当日、家屋の評価額は算出されないので、注意しましょう。

新築家屋の評価額を最速で知る方法は、どこの市町村も同じだと思いますが、閲覧時期に固定資産課税台帳の閲覧を行うことです。
閲覧は、毎年4月1日から5月31日頃(終了時期は市町村によって異なります)まで市町村等の窓口で受け付けているサービスで、所有する固定資産の評価額や、借地・借家の固定資産の評価額などの情報を無料で閲覧することができます。

1-4役所はどうやって建物の建設状況を知っているのか?

そもそも、役所の固定資産税担当課は、住宅が新築されたことをどうやって知っているのか。

新築したことをわざわざ固定資産税担当課に伝えていないのに、なぜ新築評価の通知が来たのか疑問に思えます。

家屋が完成したことを、市町村が知る方法は主に2つあります。

1つは、確認申請・完了検査といった建物を建てるときに必要な申し出や認可を受ける情報を建設課などから情報を得ている。
住宅を建てるときには、例外を除いて建物を建築してよいかの許可を役所から得なければなりません。
また建物が完成したときには、許可を得た通りに建っているかの確認もあります。
これらの情報を元に、固定資産税担当課では建物が建つ・建ったなどの情報を得ています。

もう1つは、登記情報によるものです。
建物を新築した場合には、登記義務があり、新築した建物の情報などを法務局に登記しなければなりません。
固定資産税担当課は、法務局から変更のあった登記情報を受け取り、土地・建物の状況を随時更新しています。
登記情報からどこそこの建物が完成したという情報を得ています。

1-5固定資産税の新築家屋評価はいつ行われるのか?

いつ家屋評価が行われるかは市町村によって、まちまちなのでなんともいえません。

早ければ建物が完成してから1ヶ月以内であったり、2~3ヶ月後であったり、半年建ってからということもあります。

業務を行っていた側からの話をすると、業務の状況によって本当に調査に出れない時期があり、時間が経ってからでないと評価に行けないこともありました。

12月までに建った家屋は、翌年度からの課税対象なので遅くても2~3月までに評価が行われます。

また部屋に物がいっぱいの状態を見られたくないので、引っ越す前に新築家屋調査を終わらせておきたいと希望する方もいるかと思います。
要望通りにいかない場合もありますが、市町村の担当課に連絡すると早めに新築家屋調査に来てくれる場合があります。

早めに来て欲しい時は、市町村の固定資産税担当職員に連絡してみましょう。
僕が働いていた役所では、希望があれば出来るだけ調整して早めに調査に行けるようにしていました。

1-6家屋評価の調査に合わせて準備しておくこと

家屋評価が行われるときには、市区町村の税務課等から必ず案内が来ます。(東京都23区の場合は東京都主税局)
案内の書類に何が必要か書いてあるので用意しておきましょう。

準備しておくものは、市町村によっても異なることが多いですが、一般的には、

  • 建物の最新の平面図(コピー)
  • 立面図、断面図
  • 設備仕様書
  • 仕上げ表
  • 検査済証
  • 認可があれば長期優良住宅認定済証

などの書類が多いです。

平面図は、建物を上から見た図で、部屋の間取りや区画が載ったもの。
立面図は、建物の外観を東西南北などの各方向から捉えたもの。
断面図は、建物のある部分をバッサリ切ってそこから見える様子を図面にしたもの。
平面図は場合によっては、コピーを求められることがあります。
面倒かもしれませんが、平面図は評価業務を行う上で、不可欠な物なので用意していただくと評価業務もスムーズに進みます。

書類の準備がわかりにくくて、面倒ならホームメーカーの営業などに連絡すると用意してくれるので、ホームメーカー・工務店などで建てた人は連絡してみましょう。
ホームメーカーなどでは無く、建築設計事務所などに依頼して建てた鉄骨造・鉄筋コンクリート造の建物は、上記とは別に竣工図・見積書などが必要になります。

他には、申請書類(住宅用地の申請、新築軽減の申請)などにサイン・押印することもあるので、印鑑が必要なることが多いです。

不明な点があれば、市町村の固定資産税担当部署に連絡しましょう。

1-7新築家屋評価で住宅の見られるところ/見ているところ

家屋評価では、住宅の内部と外部の両方を見ます。
家の各部屋を隅々まで見て回るので、見られたくない部屋があれば、事前に申告しておきましょう。その場合、部屋の現況や仕上げの聞き取りで済ませます。

基本的に各部屋を見て回りますが、ほとんどの市町村は収納の中までは見ません。
ウォークインクローゼットなどの部屋と呼べるような収納は了承の上で、見るという方針のところが多かったです。

新築のお家で、なおかつ初めて会う方の家を見せてもらうので、かなり気を使いながら調査を行なっています。
ズカズカと入ってきて嫌な気持ちになるかもしれませんが、職員も職務で来ているので、元経験者の気持ちとして、できるだけ協力してもらえると本当にありがたいです。

家屋評価で、見ている部分は、大まかにいって建物の内部・外部の仕上げと設備です。
建物内部については、各部屋で使われている仕上げ・天井高・設備を見て回っています。

仕上げとは、天井・壁・床の表面材になっているものです。
現代住宅の仕上げの過半数は、天井→ビニールクロス、壁→ビニールクロス、床→フローリングです。
今いる部屋の周囲を見渡してみればこうした仕上げが多いのではないでしょうか。

部屋の仕上げや設備は、総務省が定める固定資産評価基準によって、各額(点数)が決まっており、資材の種類・総量が評価額に直接影響します。
家屋の評価額は、建物に使われている資材の種類と量で決まります。
建物の面積が多いほど、資材の使用量が比例して増えるので高くなる傾向があるのです。

また資材の種類によっては、耐久性の高い・高価なものほど点数は高くなります。

簡単にいうと、良い資材や設備を使い、建物の面積が大きいほど評価額は高くなるのです。
調査では、仕上げ素材の確認と仕上げの量を平面図と天井高を元に計算し、評価額を算出しています。

住宅の設備とは、キッチン・トイレ・お風呂・給湯器などです。

キッチンを例にとってみましょう。
システムキッチンを採用する住宅が多いですが、システムキッチンは間口の大きさで点数が決まっています。
255cmのキッチンが標準で、270cmは補正をかけて高く、230cmの場合は逆に補正をかけて安くするといった具合です。

このように各設備の容量や大きさによって点数が決められています。
そのため、住宅設備は、その大きさや容量によって点数が増減します。
調査に来た職員は、こうした設備面の大きさ・長さを測ったり、設備の容量などを見ています。

1-8家屋評価は立ち会わなければならないのか?

そもそも、固定資産税の新築家屋評価は立ち会わないといけないのか?
依頼がきても無視していたらどうなるのかについて、書いてみます。

固定資産税の新築家屋調査は、部屋の中まで細かく調査をしないと、より正確な評価額を算出できないので、家屋の所有者立会いの元、家屋の中を全て見せてもらうのが基本です。

ちなみに、地方税法353条で、固定資産税調査員は、納税義務者(住宅の所有者)へ、課税の対象となる物件の資料や情報の質問・検査することが認められており、同法354条では正当な理由なく、これを拒否したり虚偽の報告をした場合は罰金の定めがあります。(適用された話は聞いたことありませんが)

市町村側から日程調整の連絡があってもずっと連絡をしなかったり、無視し続けた場合、多くの市町村では、わかる範囲の資料から(検査済証・確認済証など)評価するしかないのです。もしくは比準評価という評価をします。(比準評価の説明は長くなるので、割愛)
標準的な評価ではない評価を行なった場合、通常の評価を行なった場合より評価額が高く算出される可能性があります。

一例をあげれば、調査員が評価の参考にできる資料が確認済証の資料だけだったとします。確認済証は、建設前の住宅の情報や仕様をまとめたもので、建設中には軽微な変更が多々あります。建設途中にもう少し安くしたいから仕上げ材を変えたり、部屋の間仕切りを取っ払ったりといったことは往往にしてあります。調査員は当初の計画図面からしか情報を読み取れないので、それを元にしか評価できません。本来と違う仕上げ材なのに、申請段階での仕上げ材で評価されてしまう。本当は安い仕上げ材に変えたのに高い仕上げ材のまま評価されてしまうといった事態が発生します。
また固定資産税の中身の評価はかなり細かく、評価の詳細をみてすぐに、評価のここが間違っているとは指摘しにくいです。一度確定された評価は、正確に間違いだと指摘しなければ、何十年と誤ったまま課税され続けます。

また家屋の評価資料は見せてくれといっても、市町村がすぐに見せてくれるものではなく、情報公開請求をしなければ見れないことが多いので、手数料や余計な時間がかかってしまいます。

正確な評価のためにも、新築家屋評価に立ち会うことをお勧めします。

仕事などで都合がつかず、調査の立会いができないといった場合もあると思います。
都合がつかない場合は、市町村側でも調整してくれるので、連絡すれば調査日を変更してくれます。

市町村側も固定資産税を課税する立場として、固定資産税の説明を対面で行える家屋調査は重要な機会で、来年度からかかってくる税金を丁寧に説明していました。

何も説明が無く、大きな額の税金がかかってくれば、少なくとも嫌な気持ちになります。対面で説明されていれば、少しは心の準備ができますね。

1-9本当に固定資産税の調査なのか怪しい

あまり無いとは思いますが、固定資産税の調査に来た人が本当に調査員か確認する方法があります。

固定資産税の調査吏員証(身分証明書)を持っているか確認すればよいです。

固定資産税の調査を行うときには、職員は吏員証を携帯することを義務付けられているので、必ず持っているはずです。
もし怪しいと思う場合は、吏員証を見せてくれと言ってみてください。
ちなみに調査員は二人で行うことがほとんどです。

まとめ

固定資産税の家屋調査は、新築すれば必ず行われるもので、どんな風に行われるか少し不安に思えるかもしれません。
同様に調査員も、見ず知らずの方の住宅の中に入らせてもらうのはかなり気を使います。

住宅を所有すれば、固定資産税は何十年とかかり続けます。
固定資産税調査を正確に行うためにも、立ち入り調査は必要です。
嫌かもしれませんが一度きりのものなので、割り切って調査に協力してもらえると調査員としてもありがたいです。

余談ですが、今後、固定資産税の評価方法は見直されるかもしれません。
評価方法が煩雑すぎて、納税者に対して説明がしにくい上、調査員にも家屋の専門知識が多く求められる現行制度が本当にいいのかという議論があります。
取得価格を元に計算する方法や、BIM(Building Information Modeling)の情報をもらって評価額を算出するといった方法が議論されていました。
今後、固定資産税の評価方法は大きく変わって、家の立ち入り調査なども無くなるかもしれません。