尾道について
僕は尾道が好きでこれまで5回以上行ってます。
あまり他では見た事ないですが、尾道はお寺で音楽のライブが行われることが多く、雰囲気も相まってめちゃくちゃ良いです。
尾道には尾道水道があり、東西に長く細い海が入り込んでいます。尾道は海との関係性が強い。
尾道はお寺が多く、文学や映画などにもよく登場し、風情ある場所が多いです。何より坂が多いのが楽しい。安藤忠雄設計の美術館もあります。
尾道の展望台は、個人的に好きな建築家、石上純也さんと契約解除問題がありました。石上さん設計の展望台見てみたかった。。
2018年初夏に訪れましたが、尾道は急ピッチで施設の建て替えをやっていました。
尾道展望台の建て替えも含め、観光産業に注力しようとしているのがよくわかります。
そもそも尾道は関西方面からもアクセスしやすく、岡山・広島・四国・山陰から見て、ちょうど十字路の中心のようで、どこかへ行く中継地としても優れています。
そうした尾道に、ONOMICHI U2はあります。そのため、しまなみ海道を目指すサイクリストや観光客のためにも宿泊施設は最も必要とされていたのでしょう。
ONOMICHI U2とは
- 所 在 広島県尾道市
- 竣 工 2014年
- 用 途 ホテル、商業複合施設
- 延 床 2301.13㎡
- 構 造 鉄筋コンクリート造、鉄骨造
- 設 計 SUPPOSE DESIGN OFFICE(谷尻 誠/吉田 愛)
- 構 造 Arup
- 施 工 大和建設
豊島の次は、広島県尾道市にあるONOMICHI U2に行きました。
ONOMICHI U2は、戦時中に建てられた海運倉庫「県営上屋(うわや)2号」をサイクリスト向けのホテルと商店の複合施設として、コンバージョンして再生させたものです。
うわやの頭文字と2号を合わせて、U2という施設名になっています。
サイクリストの聖地、しまなみ海道にほど近いので、サイクリスト向けの宿泊施設を作るには絶好の場所。さらに尾道は観光地としても有名でポテンシャルがあり、尾道駅からも近いので立地としては最高の場所です。
U2には、自転車メーカーGIANTのショップがあり、ある程度の部品や工具なども買えます。
何よりロードバイクのレンタサイクルが出来るので、手ぶらで来て、しまなみ海道をロードバイクで楽しめます。
コンセプトは自転車と泊まれるホテルなので、自転車をそのまま泊まる部屋に持って行き、部屋のサイクルハンガーにかけて泊まることができます。高価なロードバイクは盗難が怖いので安心。
自分の愛車を眺めながら寝れるって最高ですよね。僕も自転車好きなのでめっちゃ泊まってみたかった。
ホテルでは工具の貸し出しもあり、ちょっとしたメンテナンスも出来ます。また自転車の郵送受取や保管もしているので、遠方からホテルに郵送で送って、マイロードバイクでしまなみ海道を楽しむ事も出来ます。
自転車好きにとっては、本当に至れり尽くせりな施設です。
ONOMICHI U2の分析
U2に入って一番最初に思ったのは、ちょうど良い暗さでした。
この日の天気のせいもあると思いますが、トップライトを入れているにも関わらず、U2はさほど明るく無かったです。元々の建物のせいでもあると思いますが、開口はあるのに暗い感じのする建物でした。
しかし平面の広がりは凄いので、狭い印象は無い。室内の中は明るくは無いが、かといって嫌な感じのする暗さでも無いリラックスできるちょうど良い暗さ。
一つ感じたのは、視線の誘導が巧みなことでした。蔦屋書店の店舗デザインと同じで、上部からの照明は明るさを落とし、出来るだけ目線か目線より低い位置に照明を集めている。
照明デザインの基礎として、人より低い位置の光の方が、親近感があり安心感が生まれるという効果があります。
その分商品に光が当てられ、まるで商品が輝いているように見える。天井の仕上げなど、前の建物のままの荒々しさが残ってたりしましたが、わざわざ天井に目をやるよりは店舗や商品に目がいってしまう。
店舗の高さがだいたい2.5~3mくらいの親近感あるスケール感で、建物そのものの天高は5m以上ある。その差分が空間の広がりというよりはふっと消える空間で、まるで夜のおしゃれな商店街を歩いているような感じ。
大屋根があり、その下で店舗が営まれている、そんな感覚を持ちました。
また施設の向こう側が見渡せそうで見渡せない。これは室内の暗さもあると思いますが、グリッド状にRCのデカい柱がいるのと、店舗によって少しの段差があるおかげ。
見えそうで見えない、奥にどんな店があるんだろうと気になって奥に進んでしまう。グリッドがちょうど店舗の分節にもなっているので、店舗同士の切れ目もわかりやすかった。床のスリットからの照明がカッコいい。
ONOMICHI U2の外部空間
ONOMICHI U2の魅力はこの外部空間でした。尾道水道と向島があるので景観としてまず良いのですが、オープスペースがかなり広い。
南側の尾道水道を臨み、タープのような屋根が並ぶ。その下にたくさんベンチや椅子があるので、歩行者や観光客の休憩場所としても機能。柔らかい風が通り抜けていく気持ちいい場所。
手すりの高さが、座った視線から向島の陸に合うように計算されている。少し合っていないのは僕のカメラの腕のせいです。。。実際の目線では、手すりが綺麗に陸と海の境に重なってました。さりげない気配り。
オープンスペースはイベントなどにも機能できる大きさで、この日も何かの行事が行われていました。市民や観光客に開かれた場所といっても良いでしょう。
ホテル部分の外から見える開口部分がちょっと勿体無い気がした。植栽もちょっと中途半端感がある。
収まりは綺麗だが、宿泊施設なので、光をどう取り込むかは重要だと思う。2階部分は開口からの採光があまり望めないのではないか。
宿泊の部屋を見ていないのでなんとも言えないが、用途の要請上、避難可能な開口を入れたというように感じてしまった。
ONOMICHI U2の魅力
谷尻誠さんの設計された建物の魅力は、わかりやすさだと僕は考えています。
建築を学んでいる人がわかる玄人的な凄さでは無く、誰が見てもわかりやすいわかりやすさ。
動線やスケールなどの基本は押さえながら、これとこれを組み合わせたら面白いんじゃないかとか、単純だけど意外なものを組み合わせたりして、おもしろいけどカッコイイ、変だけどカッコイイそういうものを作られてる感じがします。
素材の面白さやディテールにこだわりが強く、実際使われている家具や造作家具に対しても同じ印象を受けました。
このコンバージョンにおいても、綺麗であって欲しい場所は綺麗にした上で、汚れていてもいい場所、むしろ手垢が残っていてカッコ良い場所には存分に建物の手垢が残っています。
室内の暗さをあえて暗めにすることで、天井部や内壁の汚れや劣化を目立たせない。その分新しい店舗部分の低い位置に柔らかな光を配置することで、店舗・商品に視線を集めて、醜悪な部分は見せない。室内が暗いことで、明るさがいっそう際立つ。
そういった配慮が見てとれました。もちろん天井部分が汚いとか醜悪な訳では無く、梁や柱は荒々しくてカッコよかったです。
何より、来ているお客さんが「すごい、カッコ良いね」と言っていたり、笑顔でお店を回っている姿が一番印象に残りました。
尾道へ来たらぜひONOMICHI U2へ
ONOMICHI U2に行った雑感を書きましたが、はっきり言ってめっちゃ良かったです。中には尾道のシャレた衣類や商品もあるので結構見て回れます。またパン屋やカフェ、バーまであるので、小休憩や観光の立ち寄り場所としてもちょうどいいです。
U2にあるButti BakeryとYard Cafeでそれぞれパンとコーヒーを買ってテラスで食べましたが、それもめちゃくちゃ美味しかった。
テラスで尾道水道と向島見ながら、気持ちいい風に吹かれるのは最高!!本当に気持ちいい中、モーニングを食べれました。
Free wifiもあるので、休憩スポットとしても大活躍です。Free wifiはホテルの宿泊客で無くても利用可能です!
また施設の店舗はホテル利用者じゃなくても利用可能なのでぜひ。
次は自転車に乗って泊まりに行きたい。